Q&A
Question & Answer
美容皮膚科の基礎知識
ここ数年で美容皮膚科を標榜する医院が急増しました。
それに伴い治療に関するトラブルも増え、当院に相談に来られる方が増えました。
ここでは美容皮膚科にかかる前の基礎知識と、それぞれの治療に対する効果(エビデンスレベル)を簡単にご紹介します。
1. 皮膚老化(エイジング)とは
アンチエイジングという言葉がよく聞かれるようになりました。
老化にあらがうという意味ですが、これを知るためには皮膚の老化について知る必要があります。
皮膚は外的や乾燥、湿気、紫外線といった環境因子から生体を守る壁となる臓器です。
構造は3層構造+1で、真皮、表皮、角層、皮脂層からなります。
真皮は主として伸展に強い膠原繊維というもので出来ており、これが老化することによって層が薄くなり、シワの原因になります。
皮膚の一番深い層にあるため、長波紫外線、伸展刺激がエイジングに影響します。
妊娠線は真皮が急激に伸ばされて断裂するために起こる現象で、基本的に修復はされません。
表皮は真皮の真上にある1列状の基底細胞からどんどん新しい細胞が作られ、5~10層ほどの表皮細胞がタイトジャンクションという結合で組み合わさってる層です。タイト(固い)という結合の名の通り、殆ど全ての外来物は通過できません。当然、ビタミンCやセラミド、プラセンタなどは通過できません。
角層は表皮細胞が役割を終えて殻だけになったものが堆積したもので、生体防御の最前線、いわば盾のような存在です。アカスリは、この盾を無理やりこすりとることで、表皮が露出するので一時的にみずみずしいような肌になりますが、1週間後にどうなるかはご想像の通りです。
最後に皮脂層です。脂(あぶら)の層なんていらないんじゃないの、と思いますか?
実はもの凄く重要な層で、肌のお手入れ=皮脂層のお手入れ、と言っても過言ではありません。
角層は乾いた殻なので、それだけでは殻どうしがくっつかず、すぐに脱落してしまいます。
その殻のツナギの役目をし、表面をコーティングし、撥水力を与えます。
お風呂上がりに水のキレがいい肌、とは皮脂層がキレイな肌のことです。
ただし、皮脂は空気中の酸素とくっついて酸化し徐々に刺激性を持つようになるため、毎日シャワーをして酸化した皮脂を軽く洗い流す必要があります。
「肌に悪いと思って石鹸使ってません。流すだけです。」という湿疹の方が来られますが、ごく一般的な市販のボディーソープを使うだけで治ったりします。